事務所便り

2020年年始挨拶

令和2年1月1日

相川から謹んで新年のご挨拶を申し上げます。


 中国が国家資本主義という成長モデルを提示する今、自由主義を基調とする自由市場資本主義が岐路に立っています。
 自由主義は良いとしても、膨大な格差を生めば、国民の支持は続かず、ポピュリズムやナショナリズムが台頭し、その結果、持続可能な理想の世界を示すという政治本来の役割を果たせなくなっています。

 他方、国家の建前は自由主義であっても、組織や企業の内部では、ヒエラルキーで物事が決められています。
 たとえ上からの直接の命令がなくても忖度や配慮によって物事が進められていて、官僚や役員は自分や組織を守ることに終始し、不祥事が表面化しても正しいことを言えず、何のために仕事をしているのかさえ見失いがちです。

 そうした中、組織や企業において、構成員共通の目標としての「理念」や「目的」を掲げることの重要性が一段と増しています。米経営者団体のビジネス・ラウンドテーブルは、昨年8月、「パーパス・オブ・ア・コーポレーション(企業の存在意義)」で「脱株主至上主義」を表明しましたが、例えば米グーグルの「世界中の情報を整理して、あらゆる人に使えるようにしていく」のように、「ビジョン(将来像)」よりも、「パーパス(存在意義)」の定立がより重視されるに至っています。

 渋沢栄一が「理想なき者は信念なし」と述べるように、現実を直視しつつも、リーダーには、今こそ理想を語ることが求められています。


 本年もよろしくお願い申し上げます。

令和2年 元旦